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Apr
04:00 pm
サッカー
ボールを保持し試合を落ち着かせる高橋
1年時から試合に出場し、その年の新人賞を受賞。高橋は早々にチームに欠かせない選手となった。昨季は全22試合に出場し、劇的な昇格の原動力となり念願だった1部昇格への切符をつかんだ。しかし、新体制となってからの4カ月間、決して順風満帆とは言えなかった。
昨年12月、新体制となって迎えた初の公式戦(天皇杯予選学生系の部予備予選)では攻撃陣が振るわず、2試合無得点という結果だった。敵陣までボールを運ぶものの、なかなかフィニッシュまでいくことができず、高橋は「これが新チームの課題」と振り返る。その後も遠征をこなす中で、今自分たちの置かれている状況が改めて分かったという。「このままでは勝てない」。チーム全員で再確認し練習から意識を高く持つことで、着実に1部で戦える力を積み上げていった。
その中で高橋は、昨季の自身のパフォーマンスを見つめ直していた。10月に行われた青学大戦で待望の初ゴールが生まれたものの、その後は得点を重ねられず、1ゴール4アシストにとどまった。「もっと数字にこだわっていきたい」と今季は5点5アシストを目標に据える。4月の練習試合ではその宣言通り、ゴール前へ飛び込む姿が幾度も見られた。さらに、自身が最終ラインに加わり、ビルドアップに参加する姿も印象的だった。「試合を落ち着かせるのは自分の役割」と誰よりも多くパス交換に関わり、チームにリズムをもたらす。これに加え昨季から意識している、直接ゴールに結び付くパスにもさらに磨きがかかっており、より司令塔としての風格が出てきた。
また、取材を通して高橋の口から何度も出てきた言葉がある。「球際で負けない」。1部の相手と戦うことを想定し、オフからずっと意識してきたことだ。1部になると強靱なフィジカルを持つ選手がたくさんいる。そんな相手との球際の勝負に勝てれば、十分1部で戦い抜くことができるという考えだ。高橋のポジションは主にボランチ。中盤での球際の競り合いは激しく、その勝敗は試合の流れを大きく変えるプレーになり得るだろう。高橋はすでに1部での戦いをシミュレーションし、自分のやるべきことを明確にしていた。
「自分がチームを引っ張っていく」。覚悟を決めた男の目はすでに開幕へ気持ちが入っていた。1部の強豪たちとどこまで渡り合えるのか。開幕戦を明日に控え、今の気持ちを尋ねると「楽しみですね」と即答してくれた。不安はもうどこにもない。昨季よりも頼もしい存在となった司令塔は、静かに闘志を燃やしながらキックオフの笛を待つ。
1部の舞台でどこまでやれるのか期待が高まる
▪高橋宏季(たかはし・こうき)
174㌢/66㌔
H8・6・15
学部・学科/国際地域学部・国際観光学科
出身/FC東京U-18
ポジション/MF
好きな芸能人/長澤まさみ
[開幕戦試合予定]
第91回関東大学サッカーリーグ戦 1部リーグ(前期)
第1節 4月16日(日) 対専大 東洋大学朝霞グラウンドにて 14:00キックオフ
TEXT=美浪健五